保険会社が作成する示談書とは?ひどい対応してきたときの対処法も解説

交通事故によって賠償が生じた際には、最終的に保険会社が作成した示談書をもとに解決する形となります。

しかし、示談書にサインしてしまった後は、自分に不利な点があったとしてもそこを撤回することができません。

つまり、示談書は事故の解決を示す最終的な決定となるため、しっかりと確認せずに了承してしまうと、後にトラブルに発展する可能性も出てくるんですね。

そこで今回は、保険会社が作成する示談書の内容酷い対応をしてきたときの対処法を分かりやすく解説していきます。

保険会社が作成する示談書の内容

保険会社が提示する示談書には、以下のような内容が記されています。

  • 当事者の名前と住所
  • 事故発生の日時と場所
  • 事故に関係する車両の特定
  • 事故の原因と状況
  • 示談内容
  • 清算条項(損害賠償金の振込先)
  • 作成年月日

この時に最も重要となるのが、示談内容です。

示談内容には、

「人身損害の損害賠償金として、当事者甲および乙からの既支払い額(自賠責保険による支払いを含む)ほかに、○○円を受領した際には裁判外を問わず、一切の意義や請求の申し立てを行いません」

このように記載されていることがあります。

つまり、損害賠償金を受け取った時点で、それ以降は異議や請求の申し立てが一切できないことに了承した形となります。

サインする際には、損害賠償金の詳細を示している別用紙をしっかりと確認しなければいけません。

損害賠償金の詳細で注意したいポイント

保険会社が作成する損害賠償金には、いくつかの項目があります。

そのなかで、もっとも注意したいポイントを以下に挙げたのでご覧ください。

休業損害

休業損害とは、事故によって入通院が余儀なくされてしまった場合に、本来働いていたら得られたであろう収入が得られなかった場合に請求する損害です。

この休業損害には、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」といった3つの計算方式があります。

どの基準が適用されるかによって、得られる休業損害の額は大きく変わるため、どの計算方法が使用されているのかをしっかりと確認することが大切ですね。

まず自賠責保険基準ですが、こちらは1日あたりの損害額を一律5,700円で計算します。

これを基準として考えると、仮に1日あたり8,000円の収入がある人は、2,300円の損失が発生してしまう計算方法になりますよね。

 

ですが実際には、被害者が得ている収入をきちんと考慮してもらえるため、19,000円を上限として増額される可能性もあるのでご安心ください。

ただし、治療費が多かったり、慰謝料が多かったりすると、上限120万円を超えてしまう可能性が出てきます。

超えた分は保障されない形になるので、希望額の休業損害が得られるかどうかは、最終的な金額を計算してみないとわかりません。

続いて任意保険基準ですが、こちらは詳細が公表されていません。

 

どのような計算方法になるかは保険会社によっても異なるため、担当者にしっかりと確認することが大切です。

一般的には、実際に損失した額を全額補償してもらえるケースが多いですね。

最後に弁護士基準となりますが、こちらは1日あたりの基礎収入額を休業日数に合わせて支給されます。

つまり、休んだ分はそのまま同額が支給される形となるので、働いていた分と同じお給料分が得られると思ってください。

慰謝料

慰謝料とは、入通院によって発生する精神的苦痛を賠償してもらう項目です。

こちらに関しても、上記の休業損害でご紹介したように「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあります。

どの計算方式を採用しているかによって、慰謝料の額は大きく変動してしまうんですね。

やはり、一番高額な慰謝料を受け取れるのは弁護士基準になります。

 

弁護士基準は、裁判所による過去の判例をもとに慰謝料が決定されるため、自賠責保険基準や任意保険基準と比較しても高く設定されているのが特徴的です。

ただし弁護士基準は、入通院の日数ではなく、入通院の期間によって金額が決められます。

週に1度以下の通院だと、認められないケースもあることを覚えておいてください。

基本的には、弁護士に示談交渉を依頼することで、弁護士基準が適用されるケースが多いです。

交通事故の慰謝料を弁護士基準で請求したいのであれば、神戸・東灘・芦屋にある力新堂法律事務所へ相談することをおすすめします。

担当者の対応が悪かった場合

相手側が加入している自動車保険の担当者が、あまりにひどい対応をしてきた場合には、その保険会社の「お客様相談室」に電話してください。

担当者自身に文句をいったところで、怒りが増すだけで物事の解決にはつながりません。

解決するためには、しっかりと対応できる部署に直接申し出を行うのが一番です。

 

実際に、私自身が交通事故に遭遇した際にも、担当者の対応があまりに雑で、お客様相談室にクレームを入れた経験があります。

すると、後日同じ支社の他の人物から連絡があり、対応への謝罪と担当者が変わる旨の報告を受けました。

その後は、示談交渉まできちんと対応してもらうことができたため、クレームを入れて本当に良かったなと感じました。

お客様相談室でも解決しなかった場合は?

保険会社の本社にある「お客様相談室」に電話しても対応が変わらなかった場合には、損害保険会社の監督官庁である金融庁の利用者相談室に連絡してください。

ここでは、損害保険会社のクレームや、ひどい対応をされてしまった場合の相談に乗ってもらえます。

保険会社側からすると、監督官庁である金融庁に報告されたことにより大きなプレッシャーを受けるため、その後の対応が改善されるケースも少なくありません。

示談交渉の対応が悪かった場合

示談交渉になってから、保険会社の対応が急に悪くなるケースがたくさんあります。

なぜなら、保険会社の担当者も自分の会社に不利益を出さないために、できるだけ会社にとって優位な交渉を進めようとするからです。

このような場合に自分自身で対応しようと思っても、かなりの知識がないとうまくいきません。

そこで便利に活用したいのが、「交通事故紛争センター」と「弁護士」です。

交通事故紛争センターとは、加害者側と被害者側の示談交渉による紛争を解決するために、双方の間に入って中立な立場で解決のサポートを行ってくれます。

解決までに早くても3ヶ月程度の時間がかかますが、裁判した場合にはもっと長い月日がかかってしまうため、早期解決を目指すことができます。

また、交通事故紛争センターでは賠償額の計算方式に弁護士基準を採用しています。

弁護士基準なら、休業損害や慰謝料が最も高い額で計算されるため、被害者にとって大きなメリットになるといえるでしょう。

 

ちなみに、交通事故紛争センターの利用は費用が一切かかりません。

お金をかけずに解決へと導くことができるため、金銭的な問題で弁護士に依頼するのを躊躇している方にもおすすめです。

交通事故紛争センターでも解決に至らなかった場合には、最終的に弁護士に依頼した方が良いでしょう。

弁護士は交通事故紛争センターとは違い、依頼者の利益を一番に考えて行動してくれます。

ただし、弁護士を依頼することによってそれなりの費用が発生してしまうので、自分が加入している自動車保険に弁護士特約がついていないかを確認してみてください。

弁護士特約に加入していれば、弁護士にかかる費用を保険で全額賄うことができます。

まとめ

 

示談書は、きちんと納得してからサインするのが一番です。

どんなに保険会社からその場での示談を要求されたとしても、すぐに示談するのは避けてください。

詳細な部分にしっかりと目を通し、納得のいかない点はきちんと説明を求めるようにすると、後に悔いを残さない示談成立を実現できるでしょう。

交通事故で双方に過失があった場合には、自分が加入している任意の自動車保険の担当者と、相手が加入している任意の自動車保険の担当者で話し合いが行われます。

しかし、自分に一切過失がない相手が100%悪い交通事故になってしまうと、自分が加入している自動車保険は話し合いに加入しません。

つまり、このような場合は、相手の保険会社と自分自身で交渉していく形になります。

このようなケースでは、被害者を素人と判断し、雑な対応をされてしまうことも少なくありません。

また、交通事故で相手側の保険会社がひどい対応をした際の対処法についてもご紹介しました。

保険会社の対応にショックを受けていたり、憤りを感じていたりする方は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてくださいね。