人身事故により怪我を負ったら、入院や通院期間に応じて、慰謝料が保険会社から支払われます。
しかし、この保険会社から支払われる慰謝料には「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」といった3つの基準があることをご存知でしょうか。
どの基準で慰謝料が支払われるかによって、受け取る慰謝料の額は大きく変わります。
損をしないためにも、3種類の慰謝料算出基準を理解し、保険会社としっかり交渉しなくてはいけません。
では早速、3つの基準がどのようなものなのか、以下にまとめたのでご覧ください。
自賠責保険基準とは?
加害者側が任意の自動車保険に加入していないケースでは、任意保険基準が適用されないため、自賠責基準での計算になることがほとんどです。
自賠責保険で得られる慰謝料は、入通院1日につき4200円です。
「通院日数の2倍」もしくは「通院期間」の少ない方が採用されます。
また、自賠責保険基準の場合には気をつけたいポイントがあります。
それは、人身障害による賠償額の上限が120万円に設定されている点です。
治療費がかさんでしまった場合、その分慰謝料に充てる予算が少なくなります。
自賠責保険基準では、治療費・休業損害・慰謝料といった項目を総合した上限が設けられているため、上限である120万円を超えてしまったときにはその分の支払いが行われません。
任意保険基準とは?
任意保険基準は、加害者が任意の自動車保険に加入していた際に適用されるケースが多いです。
ただし、任意保険基準は自賠責保険基準とほとんど計算方式が変わりません。
保険会社によってもばらつきはありますが、最低限の保障であると考えておいた方が良いでしょう。
また、任意保険基準が自賠責保険基準と比較して大きく異なる点は、自賠責保険基準の上限である120万円を超えてしまった分に対応できるところです。
この点を考慮すると、自賠責保険基準よりは、手厚い補償が受けられるケースもあります。
弁護士基準とは?
弁護士基準は、「裁判所基準」とも呼ばれる計算方法によって慰謝料が決定されます。
過去の裁判例を元にした「民事交通事故訴訟の損害賠償額算定基準」が掲載されている赤い本を用いて、慰謝料額を決めていくんですね。
今回ご紹介している慰謝料の種類の中では最も高額な基準となりますが、法に関わる専門的な知識が要求されるため、弁護士を依頼した際に適用されるケースがほとんどです。
ちなみに、任意保険基準で5ヶ月間通院した際の慰謝料は56.8万円と公表されていることも多いですが、これが弁護士基準になると105万円と倍近くなります。
ただし、むちうちの場合の弁護士基準では計算方法が異なるので、その点だけご注意ください。
弁護士基準で慰謝料を請求するためにはどうすれば良い?
上記でもご紹介したように、事故の相手が任意の自動車保険に加入していた場合、ほとんどのケースで慰謝料の支払いは、任意保険基準が適用されています。
しかし、交通事故による慰謝料請求を被害者側が弁護士に依頼した場合には、弁護士基準が使われる可能性が極めて高くなるんですね。
つまり、自賠責保険基準や任意保険基準ではなく、弁護士基準で慰謝料を請求するためには、専門家である弁護士に依頼するのが一番です。
ご自身が加入されている任意の自動車保険に弁護士特約が付いている場合には、弁護士費用を保険にて全額カバーすることができます。
まずは、自分が加入している自動車保険に、弁護士特約がついていないかを確認するところから始めてみましょう。